現在、ある一つの誘惑が私を迷わせている。
今まで、何度同じ過ちを犯し、そして後悔してきたかわからない。
しかし、これはある種、麻薬のようなもので、一度与えられると、次もその次もと求めてしまうものなのだ。
更に厄介なのが、手を伸ばせば簡単に手に入ってしまうということ。
世の中には悪い人たちがいるもので、他人にひと時の快楽を与ええるために、無報酬でそれを提供している。
そして、誘惑に負け、それを手にしてしまったとて、特段誰に責められるわけでもなく、ただ自分の中で虚しさが残るだけ。
きっと私は今回も自分の欲望を抑えられず禁忌を犯してしまう。
だって気になるんだもん。
手順は至ってシンプル。
Googleの検索画面を開き、知りたい情報のテキストを入力し、検索するだけ。
今回であれば、入力するテキストは以下のとおり
「ブルーロック アニメ ネタバレ」
次の回の更新までに1週間待たなければならないなんて、もう私にはできない。
早くストーリーの先の展開を知って楽になりたい。
しかし、それをを知ってしまうことで伴う圧倒的デメリットがある。
これはもう副作用と呼ぶべきかもしれない。
アニメで観た時の新鮮な驚きや、感動が薄れてしまうということ。
この副作用がいかに、自分自身に虚しさをもたらすかは重々理解している。
今まで何度となくこの虚しさを感じながら、もうやめよう。これで最後にしようと心に誓ってきた。
それでも何故やめられないのだろう。
「お前の心が弱いからだ」と言われてしまえば、否定することはできない。
私は弱い。
ただ、言い訳をさせて欲しい。
先が気になっちゃう現象。
これを心理学的にはツァイガルニク効果といい、マーケティング戦略としてもよく使われる手法である。
アニメが放送されると原作マンガがよく売れるのは、アニメを観て先が気になっちゃった勢が、己の欲望を抑えられず、気づいたら全巻大人買いをしている、正にツァイガルニク効果を利用した企業側の術中にハマっていると言わざるを得ない。
これは心が弱い故の行動なのか。
否、これは然るべき脳の働きであり、生理現象である。
乾燥した場所で思わず咳が出てしまうことと、ストーリーの展開が気になってネタバレサイトを見てしまうことの間には、実のところ大した違いなどないのだ。
咳をして苦しそうな友人を見て「お前は心が弱いから咳が止まらいんだ」等言う輩がいたとしたら、それは薄情者である。
改めて問いたい。
アニメの続きが気になって、原作マンガを大人買いしてしまう人、ネタバレサイトを見てしまう人、そういった人達は果たして心の弱い人間なのだろうか。
あなたはそんな人じゃない。
きっと私の肩にそっと手を置いて「大丈夫。君は特別じゃない。ちょっと人よりも前のめりになっちゃうだけさ」と優しい言葉をかけてくれるくれるだろう。
さて、私が心の弱い人間でないことは解った。
しかし、ネタバレサイトを見た後に訪れる虚しさまでは拭えたわけではない。
純粋に映像作品を楽しむことと、内容を知ることの楽しさを分けて考えられれば、こんな悩みなど生まれることはないのに。
融通の利かない脳で困る。
何か良い解決方法があれば、是非御教示願いたい。
解決しない間は、一先ずその都度湧き上がるパッションに従って行動したいと思う。
ということで、今日も私は、後悔覚悟でGoogleの検索画面を開く。
【二次元世界の歩き方】